HAさん、Nさん、HOさんが、著名運動もかねて反対デモをおこなっている。
関係者「基地のない沖縄をめざそう」
全員「おお~」
関係者「軍を追い出して、沖縄に基地のない生活を」
全員「おお~」
県庁前、ゴーヤ踊りと軽い訴えをしていると、警察が急に押しかけてくる。
Nさん「何するんじゃ」
HOさん「何をする、ここは解散して逃げよう」
HAさん「日本は法治国家だ。これは強引すぎるんじゃ」
HOさん「HAさん、こっち」
HAさん「わかった、やばい、Nさんがいない」
腹ばいにされて後ろ手にされるNさん、連行されてしまう。
Nさん「なんでじゃー、はなさんか」
仮釈放が受理されず、3日後、刑務所に拘留される。面会所で3人がおちあう。
HAさん「こんにちは、…なんていっていいか」
Nさん「…すまんな、オレがどじっちまった」
HOさん「そんなことないわ、こっちに非はない」
HAさん「そうじゃ、デモして何が悪い」
Nさん「そやな、訴訟負けるわけにはいかない。HAさんがんばってくれよ」
HAさん「わかっているわ。ここが正念場だ。何とか踏ん張るぞ」
Nさん「その息じゃ、わしがいなくても勝てよ」
HOさん「いなくても勝つわ、沖縄が勝つ」
HAさん「沖縄が勝つのは、当然よ」
Nさん「勝って、焼酎飲んで、ゴーヤチャンプル食うわ」
守衛「そろそろ面会時間は終了じゃ」
HOさん「仕方ない、そろそろ帰るわ」
守衛「帰りなさい」
HAさん「もう少しいいじゃないか、わかったよ帰るわ」
Nさん「HAさん、HOさん元気で」
守衛「黙って」
外に出て二人でしばらく歩く。そして、
HOさん「ふざけんなよ、Nさん捕まっちまった」
HAさん「ちくしょう、あのように強引だとはね。拘留長引くかな。言い過ぎたかも」
HOさん「拘留のびるか…。ちくしょう、負けるわけにはいかないのに。Nさん、何もしてないのに捕まっちまった。悔しいわ」
少し泣き出すHOさん
HAさん「泣くなよ。くそ、負けねえぞ」
雨がぽつぽつと降り出し、本降りになる。そこに立ち尽くす2人。
Nさんが3ヶ月拘留、裁判は一部敗訴が決まり、上告して最高裁判所で争われること
になる。Nさんが帰ってきていちどうはほっと安堵する。最高裁で争われる中、沖縄
でHOさんが街頭演説に入る。
HOさん「今日、東京の最高裁判所で訴訟が行われています。そこにエールというかわ
かりませんが、この演説をおくろうと思います。沖縄は、太平洋戦争で軍の本土上陸を
経験しました。白兵戦、集団自害など、さまざまな苦難にあい、終戦をむかえました。
終戦から、一時、保護され、独立にも10余年かかりました。独立しても、なお、基地
はあり続け、私たちの生活は何か軍にはばかりながらの生活になっています。自国の軍
ならば、そこまで気を使わないでしょう。他国の軍との二重支配という関係が、私たち
がなんとなく滅入るもの、私たちを束縛するものではあるかもしれません。沖縄の本土
を踏みにじったアメリカ兵が、沖縄に戻りそこを支配する、戦争の根本には、暴力、兵
器、殺戮、支配といった人間特有の醜さをゆうしていると思います。戦争だから、相手
に暴力を振るってもいい、戦争だから兵器を使って人を攻撃していい、戦争で勝ったか
ら、支配していい。戦争は、暴力の肯定、兵器の肯定、殺戮の肯定、支配の肯定とは違
います。戦争自体が、暴力かもしれませんが、肯定しているわけではない。(戦争に勝
てば、支配していいかもしれませんが、戦争自体が支配を肯定しているわけではないと
は思います。戦争≒暴力ではあるかもしれないが、暴力を肯定するわけではないはずで
す。戦争に勝ったから、暴力をふるっていいわけではない。支配していいはあるかもし
れない。でも、)支配はしないのが、双方にとって楽ではないかと思います。基地がな
いことで、軍からの支配を抜けることができます。支配からの脱却は、私たちに自由を
与えるでしょう。二重統治は、論理がふえるともいえます。沖縄が沖縄にもどる、真の
独立は基地の撤廃にあると思います。平和とは何でしょうか。平和とは戦争がないこと
だとは思います。基地がないことが沖縄の平和、しいては日本の平和に近づくでしょ
う。ただ、軍があったときの戦争回避や抑止力といったものはなくなります。自由は得
ますが、自分自身で国を守る、平和憲法で外交をする難しさはあるでしょう。しかし、
独立国である以上、アメリカの傘で生きるわけにはいかない。私たちは独立国、日本国
の一員です。なんとかして、基地問題を解決して、新たな地平としての日本をつくって
いきましょう。わたしたちが新たな歴史を作る、その気概が必要なのです。以上です」
拍手が少し起こって、堀内さん壇上から降りていく。警察が押し入る。逃げるHOさん
HOさん「助けてー、逃げるぞ」
(終了)