ガマガエルと小説など

ガマさんとガエルさんが出てきて私の書いた小説などを紹介します

「沖縄訴訟回想」⑤(ノンフィクション)

沖縄県那覇市

HAさん、Nさん、HOさんが、著名運動もかねて反対デモをおこなっている。

 

関係者「基地のない沖縄をめざそう」

 

全員「おお~」

 

関係者「軍を追い出して、沖縄に基地のない生活を」

 

全員「おお~」

 

県庁前、ゴーヤ踊りと軽い訴えをしていると、警察が急に押しかけてくる。

 

Nさん「何するんじゃ」

 

HOさん「何をする、ここは解散して逃げよう」

 

HAさん「日本は法治国家だ。これは強引すぎるんじゃ」

 

HOさん「HAさん、こっち」

 

HAさん「わかった、やばい、Nさんがいない」

 

腹ばいにされて後ろ手にされるNさん、連行されてしまう。

 

Nさん「なんでじゃー、はなさんか」

 

 

仮釈放が受理されず、3日後、刑務所に拘留される。面会所で3人がおちあう。

 

HAさん「こんにちは、…なんていっていいか」

 

Nさん「…すまんな、オレがどじっちまった」

 

HOさん「そんなことないわ、こっちに非はない」

 

HAさん「そうじゃ、デモして何が悪い」

 

Nさん「そやな、訴訟負けるわけにはいかない。HAさんがんばってくれよ」

 

HAさん「わかっているわ。ここが正念場だ。何とか踏ん張るぞ」

 

Nさん「その息じゃ、わしがいなくても勝てよ」

 

HOさん「いなくても勝つわ、沖縄が勝つ」

 

HAさん「沖縄が勝つのは、当然よ」

 

Nさん「勝って、焼酎飲んで、ゴーヤチャンプル食うわ」

 

守衛「そろそろ面会時間は終了じゃ」

 

HOさん「仕方ない、そろそろ帰るわ」

 

守衛「帰りなさい」

 

HAさん「もう少しいいじゃないか、わかったよ帰るわ」

 

Nさん「HAさん、HOさん元気で」

 

守衛「黙って」

 

外に出て二人でしばらく歩く。そして、

 

HOさん「ふざけんなよ、Nさん捕まっちまった」

 

HAさん「ちくしょう、あのように強引だとはね。拘留長引くかな。言い過ぎたかも」

 

HOさん「拘留のびるか…。ちくしょう、負けるわけにはいかないのに。Nさん、何もしてないのに捕まっちまった。悔しいわ」

 

少し泣き出すHOさん

 

HAさん「泣くなよ。くそ、負けねえぞ」

 

雨がぽつぽつと降り出し、本降りになる。そこに立ち尽くす2人。

 

Nさんが3ヶ月拘留、裁判は一部敗訴が決まり、上告して最高裁判所で争われること

になる。Nさんが帰ってきていちどうはほっと安堵する。最高裁で争われる中、沖縄

でHOさんが街頭演説に入る。

 

HOさん「今日、東京の最高裁判所で訴訟が行われています。そこにエールというかわ

かりませんが、この演説をおくろうと思います。沖縄は、太平洋戦争で軍の本土上陸を

経験しました。白兵戦、集団自害など、さまざまな苦難にあい、終戦をむかえました。

終戦から、一時、保護され、独立にも10余年かかりました。独立しても、なお、基地

はあり続け、私たちの生活は何か軍にはばかりながらの生活になっています。自国の軍

ならば、そこまで気を使わないでしょう。他国の軍との二重支配という関係が、私たち

がなんとなく滅入るもの、私たちを束縛するものではあるかもしれません。沖縄の本土

を踏みにじったアメリカ兵が、沖縄に戻りそこを支配する、戦争の根本には、暴力、兵

器、殺戮、支配といった人間特有の醜さをゆうしていると思います。戦争だから、相手

に暴力を振るってもいい、戦争だから兵器を使って人を攻撃していい、戦争で勝ったか

ら、支配していい。戦争は、暴力の肯定、兵器の肯定、殺戮の肯定、支配の肯定とは違

います。戦争自体が、暴力かもしれませんが、肯定しているわけではない。(戦争に勝

てば、支配していいかもしれませんが、戦争自体が支配を肯定しているわけではないと

は思います。戦争≒暴力ではあるかもしれないが、暴力を肯定するわけではないはずで

す。戦争に勝ったから、暴力をふるっていいわけではない。支配していいはあるかもし

れない。でも、)支配はしないのが、双方にとって楽ではないかと思います。基地がな

いことで、軍からの支配を抜けることができます。支配からの脱却は、私たちに自由を

与えるでしょう。二重統治は、論理がふえるともいえます。沖縄が沖縄にもどる、真の

独立は基地の撤廃にあると思います。平和とは何でしょうか。平和とは戦争がないこと

だとは思います。基地がないことが沖縄の平和、しいては日本の平和に近づくでしょ

う。ただ、軍があったときの戦争回避や抑止力といったものはなくなります。自由は得

ますが、自分自身で国を守る、平和憲法で外交をする難しさはあるでしょう。しかし、

独立国である以上、アメリカの傘で生きるわけにはいかない。私たちは独立国、日本国

の一員です。なんとかして、基地問題を解決して、新たな地平としての日本をつくって

いきましょう。わたしたちが新たな歴史を作る、その気概が必要なのです。以上です」

 

拍手が少し起こって、堀内さん壇上から降りていく。警察が押し入る。逃げるHOさん

 

HOさん「助けてー、逃げるぞ」

 

                                  (終了)