何度か、学校で見かけても素通りされた。
1か月後、よもぎの訃報を聞いた。
高橋は、聞いた瞬間、何が起きたか、わからなかった。でも、あの日の意味を理解した。
それから、一週間してよもぎの母親から、生前のよもぎの書いた手紙を渡された。
高橋へ
この手紙をあなたが読んでいるとき、
もう、私は、この場所にいません。
私は、重い病にかかり、半年前、死の宣告を受けました。
絶望の淵にいるとき、軽音部でひいている、あなたのギターに耳を奪われました。
この人とだったら、残りの人生すべてつかってもいいと思いました。
あの告白した日、私の中では最高の日です。あの日、告白するのに失敗したら、どうしようか前の晩眠れませんでした。
手紙をつきかえされた時、心臓が爆発してしまいそうになり、足が震えました。
勇気を振りしっぼって、もう一度チャレンジして、成功した時の私は、有頂天でした。
ありがとう。
ライブは、成功してよかった。
死ぬかと思った。
本当は、箱でライブやりたいと言ったけど、やる体力はなかった。
「ぶっつけ本番でやる」って言われたときうれしかった。
本当は、本番は出ずに終わりにしようと思ってました。
文化祭で、歌えた時、高橋の歌声が人の手に届いた瞬間、あの歓声。
震えました。
自分が歌ったわけでもないのに、友達に話しまくって自慢しました。
しすぎて、嫌がられたほどです。
楽しすぎて罰が当たりそう、あなたと別れる時が本当にきつかった。
すんなり、「じゃあ、いいよ。」って言ってほしかった。
いつもみたいにあの笑顔で笑って帰してほしかった。
なぜ、すんなり帰さなかったのですか。恨みます。
うそです。
感謝します。
あなたの歌声は最高です。
一緒に、できて最高でした。
いつかもう一度、あなたとプロの話がしたい。
自分が天才であればいいのに、もう一度、あの舞台で高橋と暴れたい。
私のこと、忘れてね。うそ、バカ、天才。だよ。じゃあね。
よもぎより
高橋は、夜の闇の中、怒った。
「ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな」
「あいつ、嘘つきやがって、ふざけんな」
「ヤボ用って、どこのヤボ用だよ。ふざけてんじゃねえ、いつかお前を殺すぞ」
「俺が恨むよ。あいつをね。恨んでもう一度やるよ。あのライブよりすごいやつを、
何度も何度もやってやる」
「アマチュアじゃない、プロのライブを見せてやる。見てろよ、必ず一緒にやるぞ。練習しとけよ」
「くそっ、必ず世界一のミュージシャンになる。見てろよ、よもぎ。お前にも届く歌を歌うよ」
「じゃあな、あばよ、くやしいよ」
終